夫婦喧嘩はどうやったら防げる!?まずはケンカに至る原因を知ろう

誰もが平和な家庭生活を望んでいるはずなのに、ついついやってしまう夫婦ケンカ。

子どもにも見せたくないですよね。

そもそもの夫婦喧嘩に至る原因はどこにあって、どうしたら予防できるのでしょうか?

そのために大切な心がけについて、アドラー心理学に基づくコミュニケーションの専門家でアドラー式子育ての熊野英一さんに教えてもらいました。

夫婦喧嘩はコミュニケーションのすれ違いが原因..?

質問者

テレビをつけるとヨーロッパで起きている戦争の様子がひっきりなしに流れてきます。

5歳の息子から「なんで戦争しているの?どっちが悪いの?」と無邪気に聞かれ、どのように答えたら良いか、迷ってしまいました。

息子に「ケンカするのは良くないよね〜」などと言っている直後に、いつも通り夫婦ゲンカをしている自分に気づき、思わず苦笑してしまいました。

人間は闘争本能を抑えられないものなのでしょうか?

コミュニケーションは全て「わかってほしい」のせめぎ合いです。

最も親しい間柄であるはずの夫婦が、険悪になりケンカに発展してしまうとき、そこには必ず

「言わなくてもわかるでしょ!」

「何回言ったらわかるの!」

という思いが、どちらかもしくは双方にあるはずです。

ケンカの前提には「私にとっての当たり前」「自分なりの正義」「私が大切にしている価値観」があり、全く同様にパートナーにもそうした正義や価値観があるのです。

どうやら、国と国の争いも、夫婦ゲンカも兄弟ゲンカも、構造は同じということですね。

アドラーは心理学者になる前は医師で、軍医として第一次世界大戦に参加しました。

そこで、傷ついて帰ってくる兵士を治療したり、敵を殺して心に傷を負って精神を病んで帰ってくる若い兵士たちの治療にあたったりしたのです。

人間同士が対話を諦めて、暴力を選択するという戦争の愚かさを目の当たりにしたアドラーが立てた問いが、

「人はどうやったら仲良くできるのか?」

「分かってほしい」のせめぎ合いの中で、対話を継続する勇気が枯渇して、最後には暴力(言葉による主導権争いを含む)を選択しているのは、子ども同士のケンカも、夫婦ゲンカも、国と国の争いも結局は同じことです。

ここで「どうやったら(How?)仲良くできるのか?」に注目したのがアドラーです。

一方、第一世界大戦を同時に経験していたフロイトは、「Why?」を突き止めようとしました。

そしてフロイトが立てた問いが

なぜ人は戦うのか?(Why?)

フロイトは、戦う理由を探るために精神分析という手法を開発し、闘争本能や防衛本能があることを突き止めたのです。

ケンカを防ぐ鍵は「相互尊敬」と「相互信頼」

人間は闘争本能を抑えることができないのか?

というご質問に対しては、抑えることは十分に可能だ、とお答えしたいと思います。

実際に、皆さんだって、何か自分の正義や価値観が通用しない場面に直面した時に、すぐに闘いモードになるとは限らないでしょう。

もっとオトナの対応を選択して、お互いの主張の相違点を探求しあったり、100点満点は無理でも、お互いに譲り合えるポイントを見出して、妥協案を見つけたりするようなことは、無理なくできていることも多いはずです。

では、闘争本能をむき出しにしてしまうのは、どんな時でしょうか?

夫婦ゲンカの場合で考えてみましょう。

夫婦の間で、相互に「どこか、こちらの期待に応えてくれないような欠落点があるのでは?」と、不審の気持ちで相手を見れば、いくらでも怪しいところが目につくものです。

もし、こちらが相手の欠点を探すようなことをすれば、かならず、相手も仕返しをしたくなるものです。

これでは、夫婦に笑顔は生まれず、やがて闘いモードに陥ることになるでしょう。

双方が永続的に幸福を感じ続けている夫婦には、互いをリスペクトし合う相互尊敬と、無条件に信じあう相互信頼を維持しようとする覚悟があります。

だからこそ長期にわたって様々な人生の課題に協調的に対処でき、その結果として幸せを感じている、という共通点があるはずです。

息子さんに、闘争本能をむき出しにして他者と戦うことの愚かさを伝えたいのであれば、まずは、目の前のパートナーとの関係を整え「どうやったら(How?)私は他者と仲良くできるのか?」のお手本を見せられるようにしてみてはどうでしょうか?


熊野さん、ありがとうございました!

改めておさらいすると…

ポイント

  • コミュニケーションは「わかってほしい」のせめぎ合い
  • 闘争本能はおさえることができるはず
  • 相手の欠点や足りないところに注目せずに相互尊敬と相互信頼を

夫婦ゲンカというと、ピンポイントになぜ起こったのか?というケンカそのものの原因に目が行きがちです。

しかし、本来はもっと手前にある互いの関係へのアプローチが必要だとアドラーは言っているようです。

「ケンカしない関係」ではなく「ケンカが起こらない関係」、なかなか難しそうですが、チャレンジしてみる価値はあるのではないでしょうか?

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