子どもって本当によく話しますよね。
でも子どもによっては無口なタイプもいます。
とはいえ、あまりに自分のことを話してくれないと心配になります。
今回のご相談は、わが子が自分のことをあまり話さないことに悩むパパ。
もしかしたら親側に原因があることも...
そこで、アドラー心理学を基にしたアドラー式子育ての熊野英一さんから、考えられる3理由と子どもとどう接したら良いかアドバイスを聞きました。
子どもが話をしてくれない3つの理由
年長の息子はもともと口数が多い方ではありません。
しかし「今日、保育園で何があったの?」と質問をしても「楽しかった」など本当に一言ぽつっと返すだけで話してくれません。
これって私の関わり方がよくなかったのでしょうか? それとも聞き方?どうしたらいいかアドバイスをお願いします。
まず、前提として子どもの性格にもよる部分ではあるので一概には言えないところもあります。ただ口数が少ないこと自体は問題があるわけではありません。とはいえ、心配になる気持ちもわかるので一緒に紐解いていってみましょう。
本来はしゃべりすぎなほどしゃべるもの
子どもの発達を考えると、話ができるようになると、親はもちろん周りの人たちに対して自分のことをアピールすることが増えてくるケースがほとんどです。
もう毎日のように「聞いて聞いて!」のシャワーを浴びて疲れてしまう、という経験をした人も多いのではないでしょうか?
しかし、質問に出てくるお子さんはその逆で、なかなかレアなケースではないかと思います。
単純に無口な場合もありますし、大人にだってあるように「話したくない日もあるよ」というレベルであれば見守っていけばいいと思います。
でもそうでない場合、アドラー的に言うと「勇気がくじかれている状態」だと感じます。
何かをしようという意欲が持てない、挑戦するのが怖いといった感じです。
その背景にあると考えられる話さない理由が3つあると思います。
話しをしてくれない3つの理由
- 自己否定
「自分はダメな人間だ」「自分には価値がない」など何らかの理由で自分をポンコツだと感じている自己肯定感が著しく低い状況にあるケース。 - 他者不信
「どうせ聞いてくれない」「どうせ怒られる」など、周りの人=他者を信頼できていないため本心を明かさない方がいい、話さない方がいいと感じているケース。 - 他者貢献ができていない
「自己否定」とも似ているようにも見える部分ですが、自分は役に立てないという「自己有用感」が低い状態にあり、周囲に対して認めてもらうことを諦めている状況。本当は聞いてほしいし話したいのに聞いてもらう努力をせずに我慢すればいいと思っているケース。
例え未就学児であっても、このような感じ方をしていることはあります。
子どもが生まれながらにこのような考えを持つことは聞いたことがありません。
少なくとも何かきっかけがあることが推測され、その多くはもっとも身近な親の影響があるように感じます。
子どもが話したくなるために大切なのは「傾聴」
話したくなくなる関わり方
3つの理由の中で、もしそうだったら深刻だと感じるのは「他者不信」だった場合です。
本来、親は無条件で信頼できるものです。
それがこれほど早い段階で、子どもからの信頼を失っている「この人に話してもしょうがないや」と思われているとしたら、先行き不安でなりませんよね。
もしかすると、信頼を失った背景に「自己否定」や「他社貢献できない」という考えにつながるような関りを、パパやママがしてきた可能性も否めません。
親は「話をしてくれない」と思っていても、もしかしたら子どもが「聞いて」と言ってきた時には「忙しいから」と断っていて、親側が聞きたいときにだけ、話を聞こうとしているようなことはありませんか?
子どもがせっかく話してくれたことに対してそっけなく対応したり、適当にあしらったりしてきていませんか?
また、子どもが言ってきたことに対して「そんなのおかしいよ」「そうじゃないよ」「そんなこと言うな」と頭ごなしに否定したり、起こったりしていませんか?
会社の上司で考えた時に、そんな対応ばかりされていたら、大人だって話す気はなくなってしまいますよね。
わざわざ意図的にしているわけではないかもしれませんが、結果的に子どもがそう感じるような対応をしてしまっているというケースは少なくないと思います。
一度、自分の関わり方を振り返ってみてはどうでしょうか?もしも思い当たる場合でも大丈夫です。
今すぐそれをやめればいいだけです。
傾聴するための立ち位置とは
では、子どもが話したくなるようになるためにはどうしたらいいでしょうか?
最近よくあがる「傾聴」という言葉があります。
まさにそれが大事なポイントではあるのですが、調べてみると話を聞きだすためにはこんな質問をした方がいいとか、相槌はこうした方がいいといったテクニックが出ていることもたくさんあると思います。
しかし、どんなテクニックを使っても、こちらが「聞き出そう」という下心を持って接してしまうと思い通りにはならないものです。
むしろ、その思惑に敏感に気づいて「何かおかしい、話してなるものか」とかたくなになってしまうこともあると思います。
これまで出てきた良くない関わり方の多くは親が上から目線で、また親の都合が優先されています。
まずはどんなテクニックを使うよりも、対等な立場、つまり横に並ぶような感覚で接することが大切だと思います。
どうせ子どもの言うことと思わずに向き合ってみることが大切ではないでしょうか?
どんなに下手でもその気持ちは伝わると思います。
子どもにだけすればいいわけじゃない
子どもに対しては、気を付けてちゃんと横から目線で話を聞いているのに…そう感じている人もいるかもしれません。
それでも話してくれない理由が考えられるとしたら、例えば、パートナーとの話の中でお互いが否定しまくっていたりするケース。
その様子を見ていたら話したくなくなりますよね。
それでいて自分の話だけは聞いてくれている…、この人の話は聞くけど、あの人の話は聞かないというのを感じたら、それは心から信頼できないものです。
また、もう一つは自分自身も、家族に自分の話をしているか?ということ。
「パパは子供の頃どうだったの?」「パパはこれどう思う?」子どもがこういうことを聞いてきた時に、「まあそれはいいじゃない」と流していたりしませんか?
なんとなく恥ずかしいと思って自分の話をしないという選択をしていたとしたら、子どももそれを真似するようになるかもしれないですよね。
話を聞くことも、話をすることも、少なくとも親がしていることは影響があると思います。
子どもがどうかを心配することも必要ですが、やっぱりまずは自分の行動を意識的に変えてみてはどうでしょうか?
熊野さん、ありがとうございました!
改めておさらいすると…
ポイント
- 話をしない理由は「自己否定」「他者不信」「他社貢献ができない」の3つが考えられる
- 話を流していないか?否定ばかりしていないか?振り返ってみる
- 上から目線、親の都合優先をやめて、横に並ぶ感覚で傾聴する
- 子どもだけでなくパートナーにも傾聴を
振り返ってみると、大人にも通じることが本当に多いですよね。
「子ども」の部分を「部下」や「後輩」に置き換えてもう一度読むと、仕事にも役立つかもしれませんよ!
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