子どもが親に甘えることはよくありますが、度が過ぎているなと感じた時。
ちょっとこのままでいいのかと、将来が心配になる親御さんの気持ちもわかります。
そこで子どもが過剰に親に甘える原因や目的と、こどもの甘えにどう向き合ったら良いか、アドラー式子育ての熊野英一さんからアドバイスをもらいました。
子供の甘えと甘やかしは違う
今はまだ小さいからいいのかもしれませんが、来年からは小学生にもなるし、このままで大丈夫か心配です。
何か対策はあるのでしょうか?
まず、子どもが甘えるということは、親の愛情がいっぱいほしい!ということだと考えればごく自然なことであり、それをエネルギーに成長しているともいえるので否定する必要はないように思います。
ただ、気を付けなければいけないのは、親が「甘やかしていないか」というところです。
子どもが「甘える」という行動をとるときに、愛情を求める以外の目的がある場合があります。
例えばそれは、面倒だから、大変だからやりたくないと思ったことを甘えて代わりにやってもらおうという時。
おもちゃが散らかっている時に、親が「片付けなさい」と言ったとしてもやらずに、甘えていたら代わりにやってくれたなどの経験がある場合。
子どもはその「甘える」という行為を使った作戦で、物理的な得をえたことで味をしめてしまうのです。
つまり、子どもの「甘える」作戦にまんまと引っかかって親が「甘やかして」しまったというケース。
そうなると、甘えが助長していくことは容易に想像がつきますよね。
そして、赤ちゃんのままでいたほうがラクだ、もっと甘えようとなっていき、どんどん甘えん坊が加速していくのです。
保育園ではできることを家ではしない子というのもよく聞きますが、それはまさに親がやっちゃうからそうなるといううことです。
子どもの自立こそが子育ての目的だと考えるアドラー心理学の視点から見ると、これはなんとかしたほうがよさそうですよね。
ではどうしたらいいでしょうか?
子供の甘え作戦には乗らない、でも声は聴く
まずは、子どもの「甘える」という作戦に乗らないことからはじめてみてはどうでしょうか?
もちろん、限られた時間の中では親が代わりにやってしまった方が早いし、ラクだと思うこともあるでしょう。
しかし、効率的に時間を使いたいというのは親の都合。
「ちゃんと片付けができるようになること」という課題に対して、結果的に踏み込んでしまっている形になるわけです。
そして、それを続けた結果、甘えん坊に拍車がかかり、親にとってもさらに手間が増えることになっているともいえるので、どちらにとっても良くない状況です。
であれば、甘えてきたときには毅然とした態度で断ることも必要だと思います。
そして、そのためには時間がかかったとしても待つことができる余裕が必要になります。
親がしたほうがいいことはむしろそっち。
待つための時間を確保する努力の方だと感じます。
また、こうした余裕を作ることは、代わりにやってくれることではなく、本当に愛情が欲しいと思っている時に、気づいてあげることにも繋がると思います。
冒頭にも伝えましたが、子どもが親の愛情を求めるのは自然なことです。
しかし、余裕がないと、それに応えてあげられないことも出てきますし、求められていることに気が付かないということも出てきてしまうと考えられます。
親の愛情を求めている時、それを拒否する必要はありませんよね。
たとえ一緒の空間にいたとしても子どもは寂しさを感じたり、ハグをしてスキンシップをとりたいと思ったりすることがあります。
甘えなのか、愛情を求めているのか。
それを見極めるためにも、多少忙しくても、一度手を止めてちゃんと観察して向き合うことくらいはしてあげていいのではないでしょうか?
そしてきっと、そうやって受け止めてくれる姿勢を見せることで、安心感を得ることが出来たら子どもはきっと自立に向かって進むことができるようになると思います。
自分が甘やかしているかどうかというのは、なかなか自分で気づけないときがあります。
できれば夫婦でお互いにチェックをしながら、また協力して時間的、精神的な余裕を作りながら向き合っていってみてください。
熊野さん、ありがとうございました!
改めておさらいすると…
ポイント
- 子どもが甘える目的は2種類。愛情を求めている時と、代わりにやってもらいたい時
- 親の都合で、甘える作戦に乗って甘やかしてしまうことで甘えん坊を助長している
- 作戦に乗らずに待つことや、目的を見極めるためにも余裕を作ることに努力を
そうは言っても我が子はかわいい!
甘える作戦に乗らないのは本当に大変なことですが、子どもの将来の自立を望むなら、グッとこらえることも大切ですよね。
本当に難しいことですね。
また、熊野さんのアドラー式コミュニケーションの講座では、家庭はもちろん仕事でも使えるコミュニケーションのコツを学ぶことができます。
こちらも気になった方はぜひチェックしてみてください!