このところ思春期を迎えても一緒におでかけしたり、遊びに行ったりする友達親子が増えています。
一方では毒親になりがちなど、問題があるのではないか?と心配する声もあります。
そこで友達親子に憧れるパパからの質問に対して、アドラー式子育ての熊野英一さんから理想の親子関係を築くために大切なことをアドバイスしてもらいました。
友達みたいな親子関係でも問題はない
パパ友からは、親子が友達みたいになるのは言うことも聞かなくなるし、良くないのでは?と言われ、ネットでも毒親の記事などが目について不安です。
友達親子は良くないのでしょうか?
まずアドラー心理学の考え方としては、親子でどんな関係を築くかについて、いい悪いはなく、それぞれがいいと感じていれば問題は無いと思います。
また、親子に限らず、仕事での関係や友人関係なども含めて上下ではなく、横並びの関係を結ぶことが考え方の土台でアリ、大事にしているアドラー心理学としては、むしろ友達親子という関係はオススメしたいところです。
上下で結ばれる縦関係の基本は「支配」と「依存」の関係ともいえます。
かつての日本ではこのような関係で成り立っているところが多かったように感じます。
一方で横並びの関係は「相互尊敬」と「相互信頼」があってこそのもの。
お互い人としての価値を尊重した上で立場や年齢を超えて対等な関係です。
よく対等な関係というと「敬語を使わなくてもいいの?」ということをいう人もいますが、それはまた別の問題。
立場に応じて敬語を使うことは日本社会にとっては必要な文化でもあります。
大事なことは、言葉使いといった表面的なことだけではなく、相手を尊敬、尊重すること。
敬語を使って相手をバカにすることもできれば、敬語を使わなくても相手に尊敬する気持ちを持っていたり、尊重する行動をすることだってあるので注意してください。
つまり、周りから見て一見友達のような関係に見えたとしても、お互いに尊敬、尊重している関係性であれば、まず問題ないと考えられます。
「友達親子」でもしていいこと、してはいけないこと
「友達親子」という言葉は定義がとても曖昧です。
一般的には友達のように、なんでも言い合える、話せる、そんなフランクな関係のように捉えられることが多いでしょう。
相手に言いたいことを臆せずに言えて、困っていること悩んでいることを伝えることができるのであれば、それはおそらく信頼しているからこそであり、話すに値する人であるという尊敬の気持ちも感じます。
これは横並びの関係としていいと思います。
一方で、相手の状況などを無視してなんでも言っていい、なんでもぶつけていいとなると、それはもう度が過ぎていると感じられます。
そもそもこれって友達とも言えないですよね。
親しき仲にも礼儀ありと言いますが、友達だって、もちろん家族だってしていいこととしてはいけないことがあるということはみなさん理解しているはずです。
友達のように接していると「子どもが親をなめて、言うことを聞かなくなる」ということを言う人がいますが、これは子どもが上の立場でそもそも親子が逆の形で縦の関係になってしまっています。
つまりこの時点でいわゆる相互尊敬、相互信頼に基づいた横並びの「友達親子」ではないのです。
なので、友達親子がいけないのではなくて、相手のことを尊敬尊重していない関係の親子は友達のようであろうがなかろうがちょっと問題がありそう、ということです。
とはいえ、実は親子で友達のような関係を築くのはなかなか難しいものです。
相手のことを尊敬、尊重することが原則。
これを守らなければいけないのは親も子どもも同じです。
結構、これを守るのが簡単ではないのです。
特に親の方は、子どもに「言うことを聞かせる」ということが必要だと思っているケースが多く、縦の関係を押しつけてしまいがち。
つまり、親の方がルールをやぶりがちとも考えられます。
子どもがしていることを正そうと考えたときに思わず強い言葉などを使って言うことを聞かせようとしてしまうことがあると思いますが、そこは相手を尊重してちゃんと伝える努力をすることが必要。
冷静にこれができるかというポイントも含めて考えてみてください。
熊野さん、ありがとうございました!
改めておさらいすると…
ポイント
- 友達親子が悪いということはない。
- ただし、親も子も相互尊敬、相互信頼をしていることが大事。
- 友達親子の関係を築くのは難しい。親が言うことを聞かせがちなので気をつけて。
親子が仲良く、いい関係を築きたいというのは、ほとんどの人が思っていることだと思いますが、親の方の努力がかなり必要なようですね。
頑張りましょう。
また、熊野さんのアドラー式コミュニケーションの講座では、家庭はもちろん仕事でも使えるコミュニケーションのコツを学ぶことができます。
こちらも気になった方はぜひチェックしてみてください!