子どもが成長してくると、言葉も達者になってきて、親に対して口ごたえをすることも出てきます。
ついついイライラしてしまうこともあると思いますが、親としてはどのように対応すればいいのでしょうか?
アドラー心理学に基づくコミュニケーションの専門家で、アドラー式子育ての熊野英一さんからアドバイスを教えてもらいました。
子供の口答え、どう対応すれば良い?
コロナ禍で、在宅勤務が増え、夜の飲み会や出張が無くなった結果、家で家族と過ごす時間が増えました。
子どもとの時間が増えるのは喜ばしいものですが、ずっと一緒にいると、イザコザが起きることも増えてしまいます。
仕事で忙しい時に限って、5歳の娘が言うことを聞いてくれず、つい声を荒げてしまいます。
そんな時、ことば巧みに口ごたえしてくる娘に、どのように対応すれば良いでしょうか?
5歳の女の子ともなれば、もはや、パパが言い負かされてしまうくらい、おしゃべりは上達しているのではないでしょうか?
今回のご質問のような場合、子どもは、善悪の区別もついており、状況もよく理解できている上で、あえて、親に対して「口ごたえ」したり、生意気な言動をしたりします。
例えば、「そんなことしちゃダメ!親のいうことを聞きなさい!」と注意すればするほど、その行為(例えば、仕事のズームに割り込んできたり、下の子をいじめたりするなど)をわざと、これ見よがしに続けようとします。
あるいは、せっかくこちらが優しく「お風呂に入ろう!」と誘っているのに、「ママじゃなきゃイヤだ!パパなんか大嫌い!あっち行け!」と、わざとこちらを傷つけるような返答をしてくることもあるかもしれません。
「なぜ、そんなことをする(言う)のか?」と「原因」に注目しても、あまり意味はありません。
確かに、「さっきママに叱られた」「保育園でイヤなことがあった」「嫌いな食べ物を無理やり食べさせられた」など、いくらでも「原因」を見つけることはできるでしょう。
しかし、それは子どもの情緒が不安定であることの「解説」になりこそすれ、この後、どうやって穏やかな状況に戻り、いつもの素直で可愛らしい我が子に戻るのか、という「解決策」には結びつきにくいからです。
原因を考えるよりも、口答えの「目的」に注目
こんな時は、過去の原因に注目するよりも、あえて親に対して「口ごたえ」したり、生意気な言動をしたりするという行動の「目的」に注目するのです。
答えはとてもシンプルです。
子どもは、親が上から目線でジャッジしてきたり、親の正義や価値観を押し付けてきたりせずに、子どもの気持ちもリスペクトし、共感的に関わって欲しい、ということを「わかってもらう」ことを「目的」として、わざとこうした言動を選択しています。
「なんで、いつも下の子ばかり、可愛がるの?私にももっと注目してよ!」
「パパは私のことを傷つけた!どれくらい傷ついたかわからせるために、私もパパを傷つけてやる!わかったか!」
そんな思いで、子どもはわざと、下の子をいじめたり、パパに復讐的な言動をしていると考えてみてください。
このことが理解できたら、私たち親が子どもにできることは明確です。
わざと口ごたえして反抗したり、復讐的な態度でアピールするような不適切な行動を選択しないで済むように、いつも、子どもに共感的に関わることを意識するのです。
この連載で繰り返しお伝えしている「共感ファースト(相手の関心に関心を持つ。相手の目で見て、耳で聴いて、心で感じる)」の実践です。
共感することと、同意することは異なります。
子どもの意見や行動全てに同意する必要などありません。
でも、子どもがそのような行動を選択する背景にある「気持ち」に共感を示すことはできるはずです。
ここをはしょらずに、丁寧に子どもに接してみましょう。
熊野さん、ありがとうございました!
改めておさらいすると…
ポイント
- 子どもが口ごたえをする「原因」ではなく「目的」に目を向けてみる
- 子どもの目的を踏まえて、共感ファースト!
- 子どもの意見や行動に同意する必要はない。共感と同意を分けて考える
口ごたえはイライラしてしまうものですが、それが子どもからのメッセージのひとつという面もあります。
大人として、冷静になって子どものことをもう一度見直してみましょう!
また、熊野さんのアドラー式コミュニケーションの講座では、家庭はもちろん仕事でも使えるコミュニケーションのコツを学ぶことができます。
こちらも気になった方はぜひチェックしてみてください!