周囲にケンカしてばかりの夫婦がいると、ちょっと気になって力になりたいと思うことはありませんか?
今回はケンカが絶えない兄夫婦を心配する弟からの悩み相談。
家族としてどう接すればいいか?
アドラー式子育ての熊野英一さんからアドバイスをいただきました。
そもそも兄夫婦はケンカで困っているのか?
自分のことではないのですが、ちょうど同じくらいの子どもを育てている兄夫婦が心配です。
近くに住んでいるので会うことも多いのですが、いつもつまらないことでケンカばかりしています。
何か力になることはできないでしょうか?
心配している様子からすると、とても兄弟の仲がいいことが感じられます。
その気持ちはとても素晴らしいと思いますが、夫婦のことなので、もう少し冷静に考えてみましょう。
兄夫婦のケンカは誰の課題か
アドラー心理学のポイント
それぞれの課題は、誰の課題かを分けて考える必要がある
ーアドラー心理学では、人生で起こる様々な課題に対して、それが誰の課題であるかを分けて考える「課題の分離」という考え方があるー
例え家族の中であっても他人の課題に土足で踏み込むようなことはせず、その課題の当事者が課題と向き合うことを大切だということです。
もっと簡単に言うと、誰かが課題を持っていたとしても、他の人が勝手に解決しようとすることは余計なお世話ということです。
今回の場合、兄夫婦のケンカは少なくともあなたの課題ではなく、兄夫婦の課題だと思います。
なので、極端に言うと、あなたがとやかくいうことではないと言えるでしょう。
あなたの課題は何か?
では、あなたは何のために兄夫婦のケンカをどうにかしたいのか?
そこに、兄夫婦のケンカを見てモヤモヤしたり、イライラする自分の気持ちをどうにかしたいという気持ちはありませんか?
もしそうであれば、「その気持ちをどうにかする」ということは、間違いなくあなたの課題ではあります。
アドラー心理学では、人の気持ちや行動をコントロールしない方がいいと考えるので、課題を解決するために、兄夫婦の行動を変えてケンカをやめさせるという方法を取るのはちょっと違います。
もちろん、兄夫婦に対して、「見ていて気持ちが良くない」といった気持ちを伝えることはいいと思います。
ただ、その結果、兄夫婦がケンカをしなくなるかどうかはわかりません。
簡単にはできない環境かもしれませんが、極力会わないように生活するなど方法を考えることも必要かもしれません。
助けを求められたらサポートする
ただし、絶対に関わってはいけないかというとそうではありません。
兄、もしくは兄の妻が、困っているから助けて欲しいと言ってきた場合は、全力でサポートしてあげればいいと思います。
助けを求められたところで、この課題は「共通の課題」となります。
そうなったらともに話し合って解決方法を探って取り組んでいけばいいのです。
つまり、ニーズなきところにサプライは必要ないのです。
兄夫婦のケンカは本当に良くないのか?
兄夫婦が助けを求めないのはなぜ?
質問を見る限り、現状では兄夫婦からなんとかしてほしいという依頼はされていないと思います。
その理由はなんでしょうか?
もちろん弟にそんなことを相談しにくいというケースもあるかもしれませんが、おそらくあなたが思うほど兄夫婦は困っていないんじゃないかと想像できます。
あなたから見ればケンカかもしれませんが、兄夫婦は忖度なしに強い言葉で本音をぶつけ合うというのが、いいコミュニケーションになっている可能性もあります。
あなたからみれば不仲のように見えても実は健全な関係なのかもしれません。
もしかしたら、あなたは「ケンカをすることは良くない」「感情的になってはいけない」と思っていて、感情的にケンカをすることを一方的に良くないと決めつけてしまっているかもしれません。
心当たりはないでしょうか?
価値観を広げるチャンス!
今の状況を見ると、少なくともあなたと兄夫婦では、いい夫婦関係を築く方法や考え方にギャップがあるように感じます。
そして、そのギャップをなんとかしようとしているから苦しい思いをしているようにも感じます。
でも、少し見方を変えてみましょう。
あなたにとっては一見無駄に見える、感情的に気持ちをぶつけるというコミュニケーションが、人によってはいい関係を築くことにつながるケースがあるという気付きを与えてくれているとも考えられます。
あなたがそのギャップや違いを優劣で考えずに、「そういう考え方ややり方もあるんだ」と考えることができれば、自分にはないやり方を知る機会かもしれません。
目の前でケンカのようなことをしているのを見るのは、あまり気持ちがいいものではありませんが、そのくらいの余裕を持って視座を高めると、ちょっと気持ちが変わるかもしれません。
熊野さん、ありがとうございました!
改めておさらいすると…
ポイント
- まずは誰の課題か考えてみる
- 助けを求めてない人には何もしようとしなくていい
- 自分の価値観で決めつけていないか考えてみる
- 違う価値観の人と接することは価値観を広げるチャンスと捉えてみる
自分では理解できない行動や言動はよくあるものです。
特に夫婦はそれぞれのやり方、考え方があるのでギャップを感じやすいですが、そもそも同じ夫婦はいないので、あまり口出しをしないで、いい距離感で付き合っていきましょう!
熊野さんのアドラー式コミュニケーションの講座では、家庭はもちろん仕事でも使えるコミュニケーションのコツを学ぶことができます。
「子育てが思い通りにいかない」「仲良くしたいのに夫婦関係がギクシャクしてしまう」「職場の人間関係がうまくいかない」など、悩みを抱える方は自分で解決できるためのコミュニケーション術を学びます。
こちらも気になった方はぜひチェックしてみてください!
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