学校や保育園、習い事などに対して、子どもが突然「行きたくない」と言い出すのは子育てあるあるですよね。
では、そんな時に私たちは親としてどのように考えて行動すればいいのでしょうか?
今回は、パパしるべ編集部に届いた質問に対して、アドラー心理学を基にした子育てメソッドを広めているアドラー式子育ての熊野英一さんに、回答していただきました!
学校や保育園に「行きたくない」子が増えている
1学期までは問題なく学校に通っていた小学校2年生の長女が、9月に入り、毎朝「学校に行きたくない」「起きられない」「体が重い」と訴えるようになりました。
なんとかなだめすかして学校にいかせていましたが、ついに先日、学校を休むことに。
妻とはしばらく様子をみようということになりましたが、いつまで見守れば良いのでしょうか?
今、日本では不登校を選択する子どもが増え続けています。
文部科学省の最新の調査結果によれば、その数は小学生約5万人、中学生約13万人、高校生約5万となっており、小学校、中学校では平成25年から前年比プラスを記録しています。
『学校に行きたくない』『習い事に行きたくない』など、普通の子はできていること、本人もつい最近までできていた行動をしぶるのは、どんな子どもにもあり得ることです。
こんな時に、真っ先に親の頭に浮かぶのが『この子は病気なのでは?』というものです。
実際、第二次性徴期を迎える子どもはホルモンバランスが乱れ、自律神経にも影響が出ることから、起立性調節障害や過敏性腸症候群といった診断がつく場合もあります。
これまでカウンセリングをしてきた多くのご家庭では、診断名の有無に関わらず、「不登校は、子どもの甘えが原因じゃないのか?」「いや、問題はむしろ、親の育て方にあるのではないか?」といった「悪者探し」を延々と続けているようなケースも散見されます。
私たちは、何か『問題』が発生すると、その『原因』を探りその『原因を取り除く』という対策を選択しがちです。
これが有効なこともありますが、原因が複合的に絡み合い、言葉で説明することも難しい、不登校のような課題の場合には、原因を探ったところで、ここに至った解説にはなりますが、ではこれからどうしたら良いか、という解決策は見つかりません。
不登校の「原因」ではなく「目的」を考えてみよう
そこでお伝えしたいのが『人間の行動には、その人の意思を伴う目的がある』ことに注目するアドラー心理学に特有の『目的論』アプローチです。
例えば、『これはさすがに子どもの甘えでは?』と思える、明らかな仮病や、赤ちゃんのように泣いてわめいて駄々をこねるような不適切な行動を子どもが選択したとします。
その場合も、その行動自体に飛びついて叱らないのがアドラー流。
そんな時は、子どもが何を目的としてそのような行動を選択したのかを、推理するのです。
学校や習い事に行きたくなくて、仮病を装うときの子どもに『共感』してみてください。
そう、まるでその子に憑依するかのように、『子どもの目で見て、耳で聴いて、心で感じてみる』のです。
そうすると、子どもははっきり順番をつけることはできないけれども、『いろいろな理由でなんとなく、でも、とにかく学校(習い事)に行きたくない。
あそこは、私にとって居心地が悪い場所だ』という本音にたどり着いたことが想像できます。
そして、『こんなに理由は曖昧だけれど、でも、はっきりと行きたくないことはわかっている、この気持ちを、ジャッジせずに、ありのままで認めてもらいたい』という子どもの究極の『目的』が明確になってきます。
子どもはダメ出しされるから言わない
子育てはとてもシンプルです。
子どもは常に『ありのままの私を認めてほしい』『いいとか悪いとか、親の価値観で評価せずに、ただ私に注目してほしい』という『目的』を持って行動しています。
親からの無償の愛、無条件の信頼を求めているのです。
もし、子どもが素直に『理由ははっきりしないけど、とにかく学校に行きたくない』と伝えても、親はきっと受け入れてくれるはずだと確信していたら、その子は絶対に仮病を装ったり、駄々をこねたりはしません。
そうする必要がないからです。
『私の親は、どうせ私の気持ちに共感なんかしてくれないだろう。きっと自分の価値観を押しつけてきて、私が甘えているだけだとダメ出ししてくるだろう』と予想がたってしまう(そしてその予想はおそらくかなりの確率で当たっています)子が、止むを得ず、仮病を装ったり、嘘をついたりと言った不適切な行動を選択しているのです。
子どもの不登校がいつ終わるのかは、誰にもわかりません。
無理やり早めることもできません。
そもそも、学校に行かずに他に居場所を見つける方がその子の成長にプラスなこともあり得るのです。
その意味では、子どもが主体的に次のステップを選択できるよう、信じて見守るしかないのですが、その間に親ができることはたくさんあります。
一番大切なのは、家族全員が、時間と心にゆとりを取り戻すこと。
タイムマネジメントを身につけ、家族内で働き方改革、生き方改革の会議を開き、無駄な残業、過度にクオリティを追求する家事、不必要なおつきあいなどをデトックスしましょう。
そして、子どもだけではなく、家族全員が、早寝・早起き、バランス良い食生活と適度な運動を取り入れ、生活リズムを整えましょう。
くれぐれも、子どもだけにやらせることのないように。
親子で楽しく取り組んでください。
次に、子育てのことや対人関係のコミュニケーションなどを、しっかりと学ぶことにチャレンジしてください。
私が専門にしているアドラー心理学の基礎を学ぶことで、子育ても夫婦関係も職場の対人関係も劇的に改善している方が多くいらっしゃいます。
その上で、子どもの不登校などプロのサポートを受けたほうが効果的な場合は、勇気を持ってプロに相談してみましょう。
ネットで調べれば子育てや不登校に強いカウンセラーを見つけることができるでしょうし、子どもが学校に行きたくない日だけ通える、緩やかなフリースクール(第3の居場所)も各地に増えてきています。
熊野さん、ありがとうございました!
- 子どもに「共感」をして、行きたくないと言った「原因」を考えるのではなく「目的」を考える。
- 子どもが、私たち親に対して「ありのままを受け入れてくれる」「共感」してくれると思える関係性を作る。
- 家族全員が、時間と心にゆとりを取り戻すこと。そのうえで学んだり、周囲のプロのサポートを検討する。
参考になりましたでしょうか?
熊野さん自身もアドラー式子育ての講座やフリースクールの運営など様々なサポートを行っていますので、気になった方はぜひチェックしてみてください!
また、このように調べてほしい!聞いてほしい!という質問や悩みがある方は、パパしるべの問い合わせフォームからメッセージを送ってください。