ただでさえ子育ては大変なのに、在宅勤務の仕事中や、ほかにもやることがたくさんあるときに「うっとうしい」と感じてしまうことはありませんか?
わが子なのにそんなこと感じると罪悪感に苛まれてしまいそうですが、これってどうなんでしょうか?
コミュニケーションの専門家で、アドラー式子育ての熊野英一さんからのアドバイスをお届けします。
そもそもうっとうしくて当たり前
小1の息子と3歳の娘がいます。
平日の多くが在宅勤務になり、家で家族といる時間が増えました。
今年初めて息子が夏休みで家にいる状況となり、時々心からうっとうしいと感じてしまうことがあります。
わが子にこんなことを感じるなんて父親としてどうなんでしょうか?
どうなんでしょうか?と問われたら、まずお伝えしたいのは「そんなもんだと思います」でしょうか。
子ども、特にそれがわが子であれば、愛するのが当たり前であり、ネガティブな感情を抱くことはよくない。
そう思っている人は多いと思います。
もちろん、常にそうであれば問題かもしれませんが、あくまで「時々」ということであれば、誰しもに起こることだと思います。
ましてや初めての夏休み。
さすがにここまで長い時間一緒にいたことがない、という方であれば、それはもはや必然的なことだと思います。
子どもたちは学ぶこと、遊ぶこと、そして何より生きることに一生懸命。
親だってそういう姿を望んでいますよね。
ただ、大人たちのように、一緒にいる人とバランスをとったり、効率的に動いたりという意識はありません。
そんなこと知らないし、考えもしていないと思います。
そもそも子どもってそういう存在ですよね。
だからこそ、プライバシーにもガンガン踏み込んできます。
こちらが仕事をしている、家事をしている、考え事をしているなんてことはお構いなし。
仕事に集中する時間や自分の時間を確保することはとても難しいです。
大人同士がシェアハウスで暮らしているのとはわけが違います。
だったら、不快になるのも当然ですよね。
うっとうしいと思うことだってありますよ。
逆に言えば子どもからうっとうしいと思われることだってあるはずです。
ボクはもっと遊びたいのに、パパは歯を磨けとかお風呂に入れとか言ってうっとうしい!
あなたにも子どもの頃にそう思ったことはありませんか?
まずは、「わが子をうっとうしいと思うことがある」という事実を受け容れてください。
それは全然悪い事ではありません。
どんなときでも完璧に子どもの要求をニコニコ受け容れることができる、仏様のようにはなれないものです。
きっとあなたの妻だってそうだと思います。
でも、それを受け容れられないのもわかります。
多くの方はそこに呪縛のようなものがあると思います。
全員敵ではない
人にはそれぞれ、考え方のクセがあります。
時にそれは勝手な思い込みとなり、自分自身を縛り付けるモノになってしまうことがあります。
特に子育てにおいて「親は常にわが子を無償で愛さなくてはいけない」と思い込んでいる人がたくさんいると感じます。
そうするとネガティブな感情を抱いたときに質問のパパのように「父親としてどうなんだろう?」という疑問を持ってしまいがち。
きっと「母親としてどうなんだろう?」と思っている女性もいるはずです。
さらに、きっと周りの人たちもみんな同じように考えている、と思い込んでいるかもしれません。
そうなると、子どもをうっとうしいなんて言ったら、怒られたり、咎められたり、落胆されたりするのではないかと決めつけてしまうことも出てくるでしょう。
しかし、果たしてそれは事実でしょうか?
確かに、中には子どもをうっとうしいと思った人のことを責める人もいるでしょう。
もしかしたら実際にそういう経験をしたことがあるのかもしれません。
でも、それは全員ではないはずです。
共感してくれる人もいれば、客観的に状況を整理してくれる人だって、絶対にいると思います。
だったら、わかってくれる人、話を聞いてくれる人に思いを伝えてみてはどうでしょうか?
やることがたくさんあって忙しいと視野が狭まってしまうこともあります。
そうなると抜け出すのはとても大変なので、普段から少しずつでも正直な感情を吐き出す工夫をすることは大切です。
ため込んで爆発するよりもよほどいいです。
家族でも友達でも、周りに助けを求めることをおすすめします。
また、そのうっとうしいと思う子どもに対しても、多少言葉は選んだ方がいいとは思いますが、「今はうっとうしい」「ちょっと対応出来ない」ということを伝えていいと思います。
何の状況もわからず、突然不機嫌になりぞんざいに扱われるくらいなら、今は無理だとぶつけてもらった方が子どもだって理解しやすいです。
そういう時に子どもを怒鳴ってしまったり、強い言葉を使ってしまったりするという人は、きっとすでにガマンをし過ぎていて、ピークにまでなってしまい判断ができなくなっているのではないかと感じます。
ぜひ、ピークに達する前に早めに伝えるようにしてください。
子どもに対しても、そして妻に対しても、そうやってネガティブな感情を言いやすい関係を築いておくことも大事です。
本当に無理な時はそう伝えるけど、対応出来るときはちゃんと向き合ってくれるという安心と信頼があれば、いったん突き放すようなことを言っても大丈夫なはずです。
大切なことなので最後にもう一度。
わが子のことをうっとうしいと感じることがあるというあなたは、父親としてどうかしているなんてことはありません。
自分にそういうところがあることを受け容れた上で、どうやってわが子と楽しく過ごしていくかを考えてみてください。
熊野さん、ありがとうございました!
改めておさらいすると…
ポイント
- そもそもがんがんプライバシーに踏み込んでくる子どもはうっとうしいもの
- うっとうしいと思うこと自体は何も悪いことではない
- そして、そう思っていることは言ってはいけないことでもない。むしろ、ピークまでガマンしないで、ちょこちょこ吐き出していきましょう
- 子どもにも今は無理と伝える。そのために、ネガティブなことが言い合える信頼関係を築けばいい
言ってはいけない、思ってはいけない、そう自分で思い込んでいることって結構ありますよね。
信念としてやらないように決めることは決して悪いことではありませんが、縛られすぎて苦しくならない程度にしておきましょう。
また、熊野さんのアドラー式コミュニケーションの講座では、家庭はもちろん仕事でも使えるコミュニケーションのコツを学ぶことができます。
こちらも気になった方はぜひチェックしてみてください!