11月22日の「いい夫婦の日」から、11月26日は「いい風呂の日」に続く今週。
先日紹介したアンケートでは、およそ半数の夫婦が一緒にお風呂に入っているという実態が明らかになりました。
夫婦の親密なコミュニケーションの一つの形として、夫婦でお風呂に入る、と言う習慣を取り入れるのもアリかもしれませんね。
今回はアドラー心理学に基づくコミュニケーションの専門家で、最近、アドラー子育て・親育てシリーズの第3巻「夫婦の教科書 〜愛に向き合い、家庭をつくる〜」(アルテ・刊)を出版した熊野英一さんに、夜の夫婦生活について、ズバリ斬り込んでもらいます。
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5割の夫婦が一緒にお風呂に入る!?入るor入らないそれぞれの理由
11月22日「いい夫婦の日」に向けた夫婦のホンネ調査アンケートシリーズ。 いよいよラストの第4弾は、まもなくやってくる11月26日の「いい風呂の日」にちなんで、顔を合わせて話すのはちょっと恥ずかしい夫 ...
世界でも圧倒的に少ない、日本人夫婦生活の実情
もう数年前になりますが、日経DUALの「夫婦のスキンシップ特集」で「夫婦間のセックスは好き?」という質問に対して68.8%の人が「好き」と答えたにも関わらず、同じ回答者の52.3%が「セックスレスだと思う」と答えていました。
日本の夫婦関係を象徴しているようです。
私はかつて、アメリカの製薬企業でマーケット・リサーチの仕事をしていました。
その時に、米国で発売されているED(勃起不全)治療薬を日本で販売する際の、日本の市場規模を調査するプロジェクトを担当しました。
「日本人が年に何回くらいセックスをして、そのうち何%くらいED治療薬が使われるか?」を試算することで、その薬の年間生産量を推定するのが私の任務でした。
調べた結果、日本人は、世界の他国と比べて圧倒的に回数が少なく、性生活の満足度も低いことがわかりました。
コレ、皆さんご存知でしたか?
2005年と少し古いデータですが、男性向け避妊具の大手メーカーDurex社が41カ国を対象に実施した国際比較調査では、日本人の年間回数は45回で最下位(平均頻度は103回、最高はギリシャの138回)です。
日本の次に頻度の少ないシンガポールが73回ですから、ダントツの最下位と言えるでしょう。
また、性生活の満足度(I am happy with my sex lifeという質問にYesと答えた率)において日本は24%で41カ国中40位(最下位は中国の22%、平均は44%、最高はベルギーの57%)となっています。
実際には、日本人の年間回数は、もっと少ないかもしれません。
日本家族計画協会の2010年度の調査からは日本人の年平均回数は22.3回というデータがありますし、コンドーム・メーカーの相模ゴムの調査によれば、25.2回というデータもあります。
月平均2回程度、というこの数字。
多いでしょうか?少ないでしょうか?
もちろん、夫婦それぞれ、お互いが満足しているのであれば、回数の多い少ないを気にする必要はないでしょう。
でも、もし夫婦のいずれかが「したいけれども、していない」のであれば(日経DUALのアンケート結果からは、この状況に該当する方が多く存在することがわかります)、これに向き合わないままでいることは、「相手に対するリスペクトを欠いている」とは言えないでしょうか?
セックスレスの原因をアドラー心理学で考えると...
私はこの分野の専門家ではありませんが、アドラー心理学の観点から分析すると、日本社会の次のような特徴がセックスレスの要因になっているのではないか、と考えています。
- 母親の存在感が大きすぎて、子どもの恋愛観・セックス観にまで影響を与える結果、草食男子やこじらせ女子の出現など、日本人の幼稚化傾向が進んでいる
- 結婚すると妻が「母親化」し、夫を子ども扱いするため、子どもを作ったあとは、夫婦が性愛の対象ではなくなる
- 男性の長時間労働や、女性の外での労働に加えた家事・育児・介護等の負担の大きさから、男女ともに疲れきってしまい、セックスする時間や心のゆとりがない
- 社会全体に“勇気くじき”の雰囲気が広がる中、増加する自己肯定感が低い若者は、結婚どころか恋愛まで回避するような、他者とのつながりへのあきらめがある
- マンガやAVなど性的妄想を満足させるコンテンツが充実している他、性風俗産業も発達しており、恋愛を疑似体験したり性欲を満たしたりすることが容易である
- 性教育が未発達で、セックスを過度に淫靡で背徳感のあるものとタブー視する文化が根強く、家庭内でスキンシップをとること自体が恥ずかしい、という風潮がある
アドラーの高弟、ドライカースは「人はどのように愛するのか ―愛と結婚の心理学―」(一光社)の中で、セックスには3つの機能があるとしています。
一つ目の機能は「生殖の基盤としての役目」です。
二つ目の機能は「個人的な快楽を満足させるための役目」とし、依存症のように、これに過度に偏ることに警笛を鳴らします。
ドライカースが最も重視したのは三つ目の機能で、これを「一体化」と表現しています。
「セックスは、二人の人間を何ものにもまして密接に結びつけることのできる道具です。セックスによって、二人は肉体的にも精神的にも一つになるでしょう。」
と述べ、一体化は、人生に対する深い満足、永続的な愛、信頼、献身、安定と未来の幸福をもたらすとしています。
いろいろ要因はあると思いますが、そんな中でも私たちは、もっと、自分自身のウェル・ビーイング(身体的・精神的・社会的な健康が持続している状態)や幸福度の向上という点を重視していく必要があると思います。
そのためにも性生活を含むパートナーとの関係性に目を背けず、真正面から向き合わないと、心も体も一層離れていってしまうのではないでしょうか?
熊野さん、ありがとうございました!
なかなか向き合うことが出来ない性の問題。
忙しさといった外的要因もあれば、それぞれの気持ちという内的な問題もありますが、もし今がモヤモヤしているようであれば、一体化を目指して、向き合っていくことも必要ですね。
また、熊野さんのアドラー式子育ての講座では、親子、夫婦だけでなく、保護者同士など様々なシチュエーションで役立つコミュニケーションのコツを学ぶことができます。
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