NPO法人ファザーリング・ジャパンが関わる愛知県岡崎市の子育て支援事業は、間もなく3年目を終えようとしています。
今年度実施した事業や市内の子育て世帯を対象に実施したアンケート結果を分析してみると、時代やパパたちの傾向が見えてきました。
果たして、イマドキのパパたちは、時代を経てどのように変化しているのでしょうか?
意識の高まりは“妊娠期から”に変化
孫とのお散歩が日課のパパしるべ編集長のジョージです。
一昨年産まれた孫は昨年秋に1歳となり、お散歩が大好き。
同居していることもあって、毎日お散歩に駆り出されています。
娘たちがこのくらいの年齢だった頃のことはほとんど忘れてしまっているので、新鮮でたまりません。
そんな孫とかなり近い年齢のお子さんを持つのが、おかざきパパマイスター養成講座を受講するパパたち。
孫のおかげで、まるで同世代の子を持つパパのように実感を持って話すことができるのはありがたい限りです。
今年、第3期を迎えたおかざきパパマイスター養成講座では、新たに20人がパパマイスターの認定を受けました。
3年連続で定員を超える応募があり、岡崎市のパパたちの積極性に驚くばかり。
3年連続で講座の講師を担当してくれた大阪教育大学の小﨑恭弘教授も
「全国でパパ講座をしているけど、こんなところ見たことがない」
というほどなのでよほどです。
各期で受講するパパたちの個性が違うのは当たり前ですが、今期は明らかな傾向の違いがありました。
ひとつ目は、受講者の中で、パートナーが妊娠中の「プレパパ」が増えたこと。
この講座は、未就学児を持つパパたちをメインターゲットとしており、これまでの受講者は1歳から3歳くらいのこどもを持つパパが中心でした。
その傾向は今期も変わりませんでしたが、新たな特徴として、こどもが産まれる前の、いわゆる「プレパパ」と呼ばれる人たちが多く受講してくれました。
1期と2期では10%程度でしたが、今期は約25%!4人に1人が「プレパパ」という状況だったのです。
ここ数年、男性の育休取得率が急激に上がっており、今年度発表された最新のデータでは初めて40%を超えました。
体が変化しない男性は、実際にこどもが産まれるまでなかなか意識が変わらない傾向があると言われますが、こういった講座情報が広まることで、早いタイミングから子育てへ意識を向けるきっかけが増えているのかもしれません。
ふたつ目は、「岡崎市出身のパパ」が約6割と、過半数を超えたこと
1期と2期では、地元・岡崎市出身のパパは3割から4割と少数派でした。
講座後の懇親会などで聞くと、市外から引っ越してきたパパたちは地元のパパとつながる機会が少ないため、つながるきっかけとして応募したと話すパパが多かったです。
一方、3期では岡崎市出身のパパが約6割と、過半数を超えました。
受講理由を聞いてみると、「単純に講座の内容に興味があった」という声が多く、また、つながりが欲しかったのか?と聞いてみると「地元に知り合いはいるけど、こういうつながりはあまりないから」と答えるパパが多かったです。
まず、講座を企画する立場としては、興味を持ってもらえる内容を用意できたことは本当に良かったと思います。
また、もともと持っていた「地元出身のパパはすでにパパの知り合いがいるから講座を受講しない」というのは思い込みで、意外と出身地を問わず、パパ同士のつながりを求めていたことがわかりました。
ただ、一方で変わらないものもありました。
全4回のおかざきパパマイスター養成講座終了後に実施するアンケート結果を見てみると....
講座の満足度が「とてもよかった」「よかった」で100%を達成することや、講座を受講して家事・育児に前向きに取り組むようになったパパが増えていることはこれまでと変わっていません。
これはとてもうれしいこと。
ただ、「パパ友ができた」という受講者の割合が、なかなか上がらないこともまた変わっていないのです。
もちろん4回あるとはいえ、講座の中という限られた時間内でパパ友になるのはなかなか難しいことなのかもしれません。
また、交流を深めるために、毎回講座を実施した日の夜には希望者のみの懇親会を開催していますが、その他にも昼の懇親会の開催を希望する声もありました。
以前からもこういった声があったことを受けて、週末にパパたちが交流を深められる企画「PAPATOパークおかざき」を実施しています。
こちらはおかざきパパマイスターの有志が集まって企画や運営を行う親子遊びイベントで、今年度は東公園やげんき館で4回にわたって実施し、たくさんのパパたちと一緒に遊ぶことができました。
特に今年度運営に携わってくれたパパたちの工夫がとても面白かったのです。
“デジタル”だけじゃなく“アナログ”も大事
「PAPATOパークおかざき」で実施している遊びは、釣竿を使った巨大シャボン玉やバルーンアート、紙コップをひたすら積み上げる紙コップタワー、巨大絵本の読みきかせなど。
デジタルデバイスをほぼ使わない、昔ながらのアナログスタイルです。
また、今年度のパパたちがより多くの人たちに参加してもらうためにした工夫は、会場でシールを貼ったり、コメントを書き込んだりするアンケートの実施や、参加するごとにスタンプが貯まり、プレゼントがもらえるスタンプラリー。
これもまた、とてもアナログな仕組みです。
社会は大きくデジタル化に舵を切っていますが、小さいこどもたちと遊ぶ段階では、今もなお、アナログなものが大切であると考えていることがうかがえます。
この傾向は、今年度岡崎市内の子育て世帯に向けて実施したアンケート結果にも表れています。
まず「家事育児の情報の入手先」についての設問では、やはりインターネットやSNSが上位に入り、その傾向は特に女性で顕著でした。
一方、「子育てイベントの情報の入手先」についての設問では、インターネットやSNSに並んで、上位に「保育園などで配られるチラシ」というとてもアナログなツールが入ったのです。
いくら時代がデジタル中心になっても、アナログなツールも重要だと感じる人が多いようです。
また、このアンケートの結果から、もうひとつ重要なことが明らかになりました。
先に記した、「家事育児の情報の入手先」「子育てイベントの情報の入手先」の男性の回答です。
いずれも圧倒的なトップは「配偶者」でした。
一方、女性の回答を見てみると、「配偶者」は決して上位には入っておらず、しかも割合としてもかなり少ない状況です。
つまり、男性でも自ら情報を調べている人が一定数いることは間違いないのですが、家事育児でも、子育てイベントでも「情報は女性が調べて、男性の配偶者に共有する」という流れが一般的であることがわかります。
「情報を取得する」という項目に関しては、女性に負担が偏っている現状があると考えられるわけです。
男性の育休取得率が4割を超え、以前に比べて男性の家事育児参画が増加していることを示すデータも多く、実際にその様子を目にする機会も増えています。
しかし、この分野においては、依然として女性中心であることがわかりました。
理想としては、男女ともにトップ、もしくは上位に「配偶者」が入ることだと思いますが、どうしたらそういう状況に近づけるかは、今後の課題として考えていきたいと思います。
アンケート結果から気になった内容をもうひとつ。
「家事や育児で悩んだ時や困ったときに相談する相手は誰ですか?」という問いに対して、男女ともに「配偶者」がトップでした。
これ自体は良いことだと思うのですが、その割合に注目すると、男性が「86.5%」、女性が「73.6%」であり、これを100%から引いた男性の「13.5%」で約8人に1人、女性の「26.4%」で約4人に1人は、配偶者に相談できていないことがわかります。
特に女性については、意外と多い印象です。
もちろん、必ずしも配偶者に相談しなければいけないわけではないですし、時間的なすれ違いなどで「したいけどかなわない」ケースもあると思いますが、この数値が限りなく100%に近づくことを願います。
そして、今回のアンケートではごくごく少数ではありましたが、相談相手に「AI・ChatGPT」を挙げる人が出てきたことは、時代を象徴していると感じました。
きっと今後はこの割合がもっと増えていくのだと思います。
これからの変化は注視していきたいですね。
岡崎市での事業を始めて3年が経ちましたが、この短期間でも、変わってきたものと変わらないものがそれぞれありました。
時代の流れに合わせて、パパママが適応し、変化していくのは当然のことですが、その中で変わらずに求められるものの大切さも見逃さないようにしていくことが重要だと感じました。
この貴重なデータや経験をこれからの子育て支援事業に役立て、引き続きパパたちを応援していきたいと思います!